何故儲けたいの?

午前9時。フィリピンのとある港町でのお話です。アメリカから来た観光客のオジちゃんは、港で魚を揚げている漁師に声を掛けました。

「何時位から漁に出てるんだい?」

「朝の5時位かな~」

いっぱいお魚を獲ってきた漁師さん。それを見たおっちゃんは更に聞きます。

「今日はまだ漁に行くのかい?」

人懐こい漁師さんは笑顔で
「今日はもうおしまいだよ。ははっ」

その答えを聞くなりおっちゃんは顔を曇らせながら更に質問を続けます。

「たった4時間でお仕事おしまいかい?俺ならもう1回漁に行くよっ!」

その返事に対して漁師さんは

「そんなに獲っても、市場で売り切れないし…魚が腐っちゃうよ」

その言葉を待ってましたと言わんばかりに、おっちゃんは、とある丘を指さしながら続けます。

「だからな? あの辺りに工場を作って、カンヅメにするんだよ」

漁師さんは人懐こい顔のまま、今度はおっちゃんに質問します。

「それでどうするんだい?」

おっちゃんの熱は更に加速します。

「漁は1日2回…いや3回にしよう。獲った魚はどんどんカンヅメにして、国内に。いや海外にも輸出するんだ。そして工場を拡大し、マニラ辺りにキレイなオフィスを持って、販路をどんどん…」

続けようとするおっちゃんを制するように、漁師さんは言葉を差し込んで来ました。

「OK。で、君はそれを実現した時、何をしたいんだい?」

おっちゃんは自慢げな表情をしながら答えます。

「仕事はほどほどにして…そうだな。美しい海を見ながら、1日中のんびり過ごすんだ」

その答えを聞くと漁師は、仕事の手を始めながら答えました。

「それなら俺は毎日やってるから良いや」

あなたは何故儲けたいのですか?答えが答えになっていない問答って…結構ありますよね。