人・物・金から人・物・金・伝の時代へ

むかーし昔のお話です。その当時、商売は『人・モノ・金』が揃えば成功す る!なんて言われておりました。優秀なスタッフと購入してくれるお客さま(人)、売れるアイテム(モノ)、そして商売にとって血液とも言えるお金。この3 つです。以上の3要素は、現在においても必要不可欠ですが…ちょっと変動した事もございまして。

それは『伝える』というトピックです。何故ならこの『伝える』というワード、昔はそれほど重要視されておりませんでした。

モノが無い時代、アイテム数が少ない時代は、そこにモノがあるだけで売れていったからです。またお店の数、事業所数も現代ほど数はありませんでした。そうです。昔の商売は『伝えずしても売れる条件』が整っていたのです。

また、地域内における住人達とお店の密着感も大変濃いものでした。お店が開店する、目新しい商品が売られている…なんて際には、誰かが誰かに伝えて。という事が普通に行われており、こういった地域内でのやり取りは日本全国あちこちで普通の光景だったため、お店を開店する人は、さほど『集客』を気にしなくても、お客さまは集まっていたのです。

しかし…現代ではいかがでしょうか?看板を揚げただけでは気づかれない、OPENし てからしばらく経って「こんな店あったっけ?」なんて事も…。(汗)それもそのはず。昔は地域住民が地元の異変に敏感だったし、モノ自体が少なかったた め、地元で選ぶ・近所で買い物をする。は、至極当然だったのです。

看板揚げただけでは集客成立せず
人・物・金・伝の時代

また現在は大きな商業施設や量販店、コンビニなどの普及により、買い物に対する利便 性が、とても向上しました。『種類が豊富なので選べる』『時間が無いので助かる』『買い物できる時間を気にしなくても良い』『一回で総て済む』という便利 さが時代にマッチし支持され、街はどんどん様変わりして行きました。

この背景には核家族化、個人主義の進行や、女性の社会進出などがあります。共働きで忙しいお母さん達、色々なライフスタイル、ニーズの多様性…。それらに則したカタチで、商品・サービスの数、お店の数もどんどん増えて行きました。こうして、買い物における選択肢が増えるにつれ…『看板揚げただけでは集客成立せず』という状況になってしまったのです。

例えばデリバリーの飲食業界、かつては『おそば』『中華』そして、お客さまがいらし た際には『お寿司』。という程度しか選択肢がありませんでした。しかし…現在では中小はもとより、大手のチェーン店も、どんどんデリバリー産業に進出し、 自宅に居ながらして食べることが出来る種類、そしてブランドは星の数ほどに拡がりました。つまり顧客が「デリバリーで何か食べよう!」と思った時、選択肢の分母が多いため、昔なら電話帳でなじみの中華屋さんに電話して「チャーハン3つ!」と、注文すれば完結だったのですが…今は最低でも『顧客の家にメニューが無ければ選ばれない(目に触れる必要性)』という時代になってしまったのです。

これは『商売の仕方』が大きく変わった。という事です。

昔は伝えるスキルが無くとも、お客さんは来てくれましたが、現代は店の数も商品の数も増えたため、顧客の嗜好が細分化されてしまいました。 かつてのお客様は地元に1軒しかない中華屋さんにチャーハンを頼むだけだったのですが、現在ではチャーハンを扱うお店自体も増えたため、まずは店舗情報や メニュー、所在を認識してもらうだけでなく、『素材の生産地はどこなのか?』『どういった調理方法なのか?』という事や、『どんな経歴を持つ誰が作ってい るのか?』などという事まで伝わらないと…目に留まらない、見てもらえない、選んでもらえない時代とも言えるのです。(大手スーパーでも生産者さんの顔を 出して紹介してますよね)

地域内で訴求してますか?

また「チャーハンをどうしても食べたいんだっ!」というお客さんならともかく、「今日のお昼何にする?」というモードの方だと、色々なデリバリー飲食店から届いたメニューの中からジャンル→お店→料理という順番で 選ばれます。昔は選択肢が無いゆえに「チャーハン」だったのですが、現代は他にも選択肢があるため、『果たして中華が選ばれるか?』という段階まで出来て しまったのです。なのでまず中華が選ばれた後に、自分のお店が選ばれるか?他の中華屋さんが選ばれてしまうのか?という流れになるんです。

これらの理由から、現代の地域密着型の商売は『時代に応じた販売への変換(地域内訴求力)』が必要であるため、常時『伝える』『発信する』という作業をしてないと、続けてないと、顧客に選んでもらうどころか…「見つけてもらうコト」すら成立しないのです。

本来、商売人の時間割は「もっと美味しいチャーハンを作るぞ!」という気持ちを100%注ぎ込む事で、素晴らしいチャーハンが出来、お客さんも喜び…。という感じだったのですが、現在は「伝える」という仕事が増えたため、せっかく美味しいチャーハンを作っても、知らせない限り、多数の同業者に埋もれてしまうため、誰の口にも入らないのです。

また、先も申し上げた通り、チャーハン以外にも星の数ほど、食べ物の選択肢がありま す。数ある選択肢の中から、『我が店のチャーハン』を見つけてもらえなければ…『目に留まる』も『選ばれる』も起こらないからです。ゆえにプロの時間割も 昔通りではなく…いくばくかの時間を『伝える』の方に回さない限り、知ってもらえない・理解してもらえないのが現代の商売法、その実情なのです。

昔からお店を営む商売人は、よく「ウチは地域の人、全員知っているはずです」なんておっしゃります。しかし…「調べた結果、ウチを知らない人が多くてショックでした(汗)」と言う方は結構多いのです。『昔からあるので皆知っているはず(予測)』ではなく、『ちゃんと知ってもらう活動をしているか?、知られているのか?』が大切なのです。だって、知らない店には、お客さん達は行きようが無いので、『来てない』って事は『知らない可能性』が高いのです。