知識の幅
施術の技術を磨くことは大切です。しかし、身体の構造や解剖学だけを学んでいる先生と、それ以外の領域にも目を向けている先生では、患者さんへのアプローチがまったく変わってきます。
限界の気付き
柔道整復師や整体師の養成課程では、骨格・筋肉・神経などの身体構造と、施術の技術を中心に学びます。
しかし、それはあくまでも「試験に合格する為の勉強」です。
実際に患者さんの不調を改善し、その人本来のパフォーマンスに戻す為の学びではありません。
「慢性的な腰痛が続いているけど、身体に異常は見当たらない」
「慢性的な肩こりがあるが施術の後はいつも楽になる。しかし、すぐ戻る」
「前回は緩んだのに、また張っている」
などのケースに、学校で習った知識だけで向き合おうとすると、手詰まりになるものです。
そして、患者さんを楽にしてあげようと躍起になっても、知識が無ければ事故も起こります。
先日、「腰回りのコリや張りを全て緩めた事で、患者さんが立てなくなるほど痛みが増し、動けなくなってしまった」という事例を読みました。
個々の身体は自分の弱い部分をフォローする為に、周囲の筋肉などがサポートしてくれます。骨が弱ければ筋肉が硬くなり、守ってくれるのです。これは身体の神秘であると同時に「コリや張りは悪者ではなく、その人にとって大切な存在」だという側面です。
それを知らない施術者は、ただ表面的な部分のみを見て
こり(血液循環不良)=悪
と短絡的に診断してしまうのです。
試験に合格した人からプロへ。
ただのプロから、真の施術家へ。
それに基づく知識も必要なのです。
心や感情も身体に作用する
先生は「身体の状態と心の状態」が深く結びついているのをご存知ですか?
ストレスが高いと筋肉は緊張します。感情が抑圧されている時は、特定の部位に慢性的な緊張が出るのです。患者さんに過去のトラウマや、解消されていない怒り・悲しみ・恐れがあると、それらが身体症状として現れていたりもします。
これは「気のせい」ではありません。神経系を介した、身体と心の相互作用であり、現代では脳神経科学や心理学で立証されている「常識」なのです。
また、慢性的な痛みや緊張の多くは、自律神経系の乱れと関係しています。
交感神経が優位な状態(緊張・戦闘モード)が続くと、筋肉は緩まず、痛みの感度も上がります。しかし、患者さんの神経系が「安全だ」と感じない限り、その筋肉は絶対に緩まず、痛みも消えづらいのです。
だからこそ、院の雰囲気も施術同様にとても重要です。「ここは安全ですよ」と感じさせるスタッフも、あなたの院の施術者なのです。
そして当然、先生の声や表情、触れ方、話し方…などの全ては、患者さんの神経系に影響を与えています。
こうしながら、交感神経優位を緩め、そして、ご本人の持つ「心の課題」「過去からの身体の癖や歴史」が体に現れている事実を、1つひとつ見極めながら施術するのですね。
はい。とおり一辺倒の施術テクでは対応できないのですよ。
そんな甘い世界ではないからこそ、10年後に5%しか整体院、接骨院は残らないのです。
ソマティックマーカー理論
神経科学者のアントニオ・ダマシオは「人間の判断や感情は、身体の感覚と切り離せない」という「ソマティックマーカー理論」を提唱しました。
「腸が反応する」「心臓がドキドキする」「胃が締め付けられる」などの身体感覚は人の感情や記憶と連動しています。
身体の緊張が解れると、感情や記憶の固着も和らぐこともあるのです。しかし、それは患者さんご本人が求める場合もあるし、固辞する場合もあるものです。先生が勝手に進めるものではありません。
そして、冒頭でご紹介したように、良かれと思って行った施術が、むしろその人に必要なものを取ってしまうという…「余計なこと」になる可能性も否めません。
私は脅しているのではありません。
事実を示しながら、ご自身の選択した道の深さをお伝えしているのです。
先生の施術には確かに「感情の癒し」として機能します。事実、現代ではうつ病の患者さんや深いトラウマを抱える人は、カウンセリングや座学(頭の納得)の前に「神経を緩めること」が最優先と言われています。
なお感情と身体(筋肉だけでなく臓器への影響)は、ソマティック理論だけでなく、精神神経免疫学、生体エネルギー学、オステオパシー、中医学などで常識として語られています。
知識の幅と患者さん
…とこのように色々お話ししておりますが、私がお伝えしたいのは、「全部学べ」という事ではありません。
ただ、身体構造の知識だけでなく、心と身体のつながりに関心を持ってほしいのです。解剖学だけでは解決しきれない現実を受け入れてほしいのです。
何故ならその関心が、患者さんとのやりとりに現れるからです。
目の前の患者さんの痛みや不調の原因を深い部分まで探り、解決しようとコミュニケーションする先生と、患部しか見ていない先生とでは、関係の深さが全く異なってくるのです。
人はその辺をすぐに感じ取るものです。敏感な人なら先生の心の中まで見透かしながら、施術を受けている事でしょう。
「この先生は、ちゃんと見てくれている」という感覚を持った患者さんは、あなたをパートナーとして受け入れます。
患者さんが感じる「この先生に診てもらいたい」という気持ちは、技術だけから生まれるのではないのです。
知識の幅を広げることは、そのための土台であり、プロとして生きるのなら至極当然なのです。
ちなみに…私がなぜ、ここまで身体と心の関係性について理論などもよく知っているのか?それは、私の得た知識がクライアントさんや勉強会に呼んでくれる先生達の知識になり、先生として、プロとしての品格を上げるから学んできたのです。
よくある質問
幅広い知識を持つことは、集客に直接効果がありますか?
直接の広告効果はありませんが、知識の幅は「患者さんへの説明の深さ」と「信頼感」に直結します。「この先生は体のことだけでなく、生活習慣・食事・運動まで教えてくれる」と感じてもらえると、患者さんの満足度が上がり、口コミ・紹介につながります。知識は、長期的な集客資産です。
勉強会や研修への参加頻度はどれくらいが適切ですか?
月1〜2回を目安にするのが現実的です。ただし参加頻度より「学んだことを院で実践する」サイクルの方が重要です。研修に参加しても臨床で試さなければ知識は定着しません。「今月の研修で学んだことを1つだけ実践する」という小さな目標を繰り返すことで、知識が技術と統合されていきます。
知識の幅を広げるために、最初に取り組むべきことは何ですか?
まず「患者さんがよく抱えている悩み」の周辺知識から深めることをお勧めします。腰痛が多い院なら、腰痛と睡眠・腰痛と仕事姿勢・腰痛と内臓疲労の関連を学ぶ。患者さんの日常に近いところから知識を広げると、施術中の会話が豊かになり、患者さんの信頼が深まります。
患者さんが通い続けてくれる院づくりの具体的な方法を、セミナーや勉強会でお伝えしています。
もしご相談があるなら、公式LINEからお気軽にご連絡くださいませ。
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望月まもる(集客支援コンサルタント) 地域の商いを見続けて40年。整体・接骨院の勉強会で約10数年講師を務める。他にも商工会や行政、工務店やリフォーム会社、各種サロンなどの業界団体でセミナーや講義、勉強会や研修などを行う。クライアントは接骨院、整体院、各種サロン業、物販、通販会社、製造業、学習塾、音楽教室、リフォーム会社、工務店、ポスティング会社など。著書:「儲けるポスティング損するポスティング」「『集める』から『集まる』店へ」