← サロンの一覧へ戻る

2026年7月7日 サロン 商い全般 工務店・リフォーム会社 整体院・接骨院 製造業

神と街道

江戸時代、人々は何百キロもの道を歩いて
伊勢神宮を目指しました。

その道中に、宿屋や食事処、
土産物屋などができました。

神様に向かう人の流れが、
商売の流れになったのです。

日本の商業の発達は、
神社仏閣に向かう道と、
深く結びついています。


鎌倉時代になると商売人が集まる
「座」が本格的に形成されていきます。

座とは特定の寺社や貴族の庇護のもとで、
商売の独占権を持った商人集団です。

絹座、魚座、米座…という
品目ごとに座が生まれ、
商人たちは組織として動き始めます。

ここで重要なのは、
座が「寺社の境内や参道」を
商売の拠点にしていたことです。

神社の門前に市が立ったり、
寺の境内で商人が並び、
これを「門前町」と呼びました。

あなたも行った事があるかもしれませんが、
お伊勢さんはもちろん、善光寺門前、成田山門前、
伏見稲荷の参道…など、
今もなお賑わうこれらの場所は、
すべて中世から続く
「神仏と商売の共存」の原風景なのですね。

なぜ参道に商売が集まったのか?
というと、もちろん人が集まるからです。

しかしそれだけでは無いのです。

参拝者は人は「清らかな気持ち」で来ており、
そこで行われる商売は、
当然「誠実さ」を求められました。

「門前で商いをしている商売人として
襟を正す必要性があったからです。

そして神様仏様の前で嘘をつく商人は、
信頼を失うだけでなく、
罰を受けると信じられていたのです。
ま、そうだと思いますけどね(苦笑)

門前では神仏の存在が、
商売の倫理を支えていたのです。


そして同じ頃、もう一つの商業の道が
育まれていきました。

それは「街道」です。

鎌倉時代になると、武家政権の成立とともに、
全国をつなぐ道が整備されていきます。

鎌倉街道や東海道の原型になる道を、
物資を運ぶ「問丸(といまる)」と呼ばれる
運送業者たちが行き交いました。

問丸は年貢や一般物資の運送・保管・委託販売(卸売り)を行い、
現在で言う「物流業者と倉庫、問屋の役割」を兼ねていました。

人が行き交う街道沿いには、
宿場が生まれ、その宿場に商人が集まり、
やがて町が形成されていきます。

街道は単なる移動の道ではありません。
物と人と情報が流れる、
日本の商業の大動脈でした。


室町時代になると、
商業はさらに活発化します。

定期市が「六斎市(ろくさいいち)」として制度化され、
月に六回、市が開かれるようになりました。

また、「馬借(ばしゃく)」「車借(しゃしゃく)」と呼ばれる
運送業者が登場し、物流の仕組みが整っていきます。

そしてこの頃になると「問屋」の原型も生まれ始めます。

生産者から物を買い取り、
小売商人に売るという「仲介する商売」が現れたことで
商業の構造が一気に複雑化されていきました。


この時代に特筆すべき商人がいます。

「大山崎油座(おおやまざき あぶらざ)」です。

現在の京都府大山崎町(および大阪府島本町)周辺を拠点とし、
石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)の庇護のもと、
全国に食用油を販売した商人集団です。

神社の権威を背景に、
全国規模の商売網を構築した彼らは、
単なる商人ではありませんでした。

神仏への奉仕と、
商売の誠実さを一体として捉えた、
日本的な商人道の先駆けです。


参道と街道、この二つの道が、
当時の日本の商売を育てた「幹」でした。

神に向かう道には、
誠実さと清らかさが求められ、

人と物が行き交う道には、
信頼と継続性が求められたのですね。

そして、どちらの道でも、
「正直でなければ商売は続かない」という
共通の原則が、自然と育まれていきました。


孔子は「信なくば立たず」
信頼なくして、人は社会に立てない。
と、唱えました。

鎌倉から室町の商人たちは、
この言葉を哲学として知っていたわけではなく、
商売の現場で、体として知っていました。

参道を歩く人々の清らかな目が、
商人を正直にさせ、

街道を往来する人々の厳しい目が、
商人を誠実にさせたのです。


ご相談はこちらから

ご質問やご相談がございましたら、公式LINEからどうぞお気軽にご連絡ください。

公式LINE:https://lin.ee/tpXecjZ

望月まもる(集客支援コンサルタント)地域の商いを見続けて40年。整体・接骨院の勉強会で約10数年講師を務めております。商工会や行政、工務店・リフォーム会社、各種サロンなどの業界団体でも、セミナーや講義・勉強会・研修を行っております。クライアントは、接骨院・整体院・各種サロン業・物販・通販会社・製造業・学習塾・音楽教室・リフォーム会社・工務店・ポスティング会社など多岐にわたります。著書:「儲けるポスティング損するポスティング」「『集める』から『集まる』店へ」

LINEで相談 お問い合わせ