値段は段階、価格は品格
「もう少し、安くなりませんか」。お客さんにそう言われた時、胸の奥がほんの少し痛みませんか。今回はその正体のお話を。
値段と価格は、違う
値段とは、数字で表されるただの目盛り、「価値」の段階です。しかし価格は、価値の品格なのです。
あなたという商売人が、どんな想いで、どれだけの時を重ねて、その仕事に向き合ってきたか。その生き様がにじみ出たものが、価格なのです。似ているようで、まるで違うものなのですね。
腕は確か、サービスも素晴らしいのに、自分の価格をまっすぐ語れない方。「高いと思われたら」とつい口ごもってしまう職人さん。気持ちはよく分かります。お客様に去られるのは怖いものですから。
価値は、双方の納得で決まる
ここで一つ、商売の法則をお話しします。「価値は、売り手と買い手、双方の納得で決定する」のです。自分一人では完成しないものなのですね。
「私にはこれだけの値打ちがある」とどれだけ深く信じていても、それはまだ自分に言い聞かせているだけ。お客様の心が納得し、「欲しい」「買いたい」となってはじめて、本物になるのです。
では、試しに来てくださった方に、次は正規の価格で戻っていただくにはどうすればよいのでしょう。品格を感じていただき、ご納得いただけるか、なのです。
(1)変化を伝える
お客様の変化を、あなたの言葉で手渡してあげてください。「来た時より、肩の位置が変わりましたね」「強張っていたお顔が、やわらかくなっていますよ」。
人は、自分の変化に意外と気づいていないものです。あなたがそれを言葉にして渡した時、お客様の中に「ここに来ると何かが変わる」という実感が芽生えます。その実感こそが、価格に納得していただく最初の一歩なのですね。
(2)価格の正当性を語る
なぜこの価格なのかを、堂々と語りましょう。「この技術は、私が何年もかけて身体に染み込ませてきたものなのです」「一度で終わらせず、根っこから良くしたい。だから手間も時間も惜しまないのです」。
これは自慢ではありません。あなた自身の品格が「価格」に反映されただけ。あなたの歴史、キャリア、知識や技術、人間力の全てが、価格という一つの数字に込められているだけなのです。
ドラッカーは「顧客は価値に対して対価を払う。価格に対して払うのではない」と遺しています。お客様が財布を開くのは、数字に対してではなく、その奥にある値打ちへの納得、敬意に対してなのですね。
(3)未来を見せる
未来の景色を見せながら、続けることの意味を手渡しましょう。「今回は炎症を抑えるためでしたが、次回から本格的に進めますからね」。
人は、完結した体験よりも、続きが気になるものです。こうしたやり取りを重ねるからこそ、お客様は「私の身体を理解してくれている人だ」と感じるのです。
価格は「価値の品格」
品格とは、押しつけるものではありません。あなたから「にじみ出るもの」です。仕事への姿勢、お客様への想い、まなざし、言葉の裏に潜む自信。それらが積み重なって、「この価格にはちゃんと理由がある」とお客様が自然に感じ取る空気が生まれるのです。
千利休はこう説きました。「その道に入らんと思わば、師を択ぶことを先とすべし」。お客様があなたを選ぶ時、価格を見ているのではありません。「この人に任せていいだろうか」「この人は私を理解してくれるだろうか」を感じ取ろうとしているのです。
もし、あなたが値段を下げたくなった時。それは本当にお客様のためでしょうか。それとも、去られるのが怖い、自分のためでしょうか。そっと胸に手を当てて、確かめてみてくださいね。あなたの価格に、あなたの品格が宿りますように。
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望月まもる(集客支援コンサルタント)地域の商いを見続けて40年。整体・接骨院の勉強会で約10数年講師を務めております。商工会や行政、工務店・リフォーム会社、各種サロンなどの業界団体でも、セミナーや講義・勉強会・研修を行っております。クライアントは、接骨院・整体院・各種サロン業・物販・通販会社・製造業・学習塾・音楽教室・リフォーム会社・工務店・ポスティング会社など多岐にわたります。著書:「儲けるポスティング損するポスティング」「『集める』から『集まる』店へ」