商売を伸ばす脳の活用法
商売を止めているのは、お客様でも市場でもなく自分の脳である。
という説があります。
確かに私が接して来た商売人の人達も商売がうまくいかない時、外側に原因を探します。
景気、立地、天候、タイミング、広告、競合…etc色々な何かの「せい」にして自分は悪くない、自分のせいにしようとしないのです。
私は長年、色々なタイプの商売人、社長、院長と接する中で、
商売の成否を決めている原因の多くは、外部要因ではなく内部的なもの…
もっと正確に言えば、商売人自身の脳の中にある。
と思ってます。(心や感情もですけどね)
ここでは商売人の成長を妨げてしまう、「3つの脳の習性」についてお話しします。
⑴拒絶される恐怖
新しいお客様に声をかけられなかったり、自分を出せなかったり、思った事を伝えられない…。
価格交渉で自分から値を下げてしまったり、「どうせ断られる」と思って、提案すらしない…。
「こうすると売れるよ」「こうやるとお客様がリピートするよ」と聞いても、「もしそうならなかったら」と起こりもしない事ばかり想像して動けない…。
まだまだありますが、これらは全て「拒絶への恐怖」からの行動です。
脳科学の研究によると、拒絶を恐れる人は大きなチャンスを自ら手放す傾向があると云われてます。
しかもこれは、「自己成就予言」として成立しやすいのです。自分の未来の不幸予測を自分で叶えようとして、実際に叶う。というヤツです。
「動かなければ結果は出ない」のは、因果の法則、この世の定理です。
行動せずに結果が出なければ「やっぱり無理だった」と確信する機会も増えます。(こちらから見てると「当然だろ!」としか思えませんが)
そして、確信が深まるほど、次も、またその次もどんどん動けなくなるのですね。
このスパイラルの中で、自分で自分の首を絞め、商売が先細りしていくのです。
拒絶される、思った様に進まないのは、果たして「自分のせい」だけなのでしょうか?自分の価値が否定された訳でもありません。
「今この人には、タイミングが合わなかった」だけのことです。
野球の世界では「3割打てれば一流」と言われますよね?
10回のうち7回は、打てなくても良いのです。しかし7回の失敗を恐れてバットを振らない打者は、永遠にヒットを打てないし、チームからも見放されます。
断られたのは、商売の「打席に立った証拠」です。
最初から「全て完璧に上手く行く」などと思わない方が、打てた時嬉しいものなので、毎回「本気の練習」のつもりで精一杯振れば良いのです。
⑵制限的な思い込み
「自分には無理だ」「こんな田舎では限界がある」「高い価格をつけてはいけない」
これらは単なる「思考」ではありません。
脳科学的に言えば、自分の可能性を狭める思い込み…繰り返された思考が神経回路として刻まれた状態です。
「出来ない。無理。嫌だ」と自分に言い聞かせるたびに、脳の回路はより深く、より太くなっていきます。
そして、やがてそれは「思考の習慣」になります。
考えようとする前に「どうせ無理」の状態がデフォルトになるので、「無理な理由」を探し出す様になってしまうのです。
しかし、この回路は書き換えられます。
脳には「可塑性」という習性があ流のです。
ただし、根性論では書き換えられません。
「ポジティブに考えろ」と言われても、深く刻まれた回路はなかなか変わらないのです。
言葉を変えるなども有効ですが、商売人の場合は「小さな成功体験の積み重ね」は即効性が高いです。
出来ない思っていた事が、一つ出来た。というその瞬間、脳は新しい回路を作り始めるからです。
特に商売の初期は、大きな成功よりも、小さな「出来た」を毎日積み上げ、確認していく方が脳の書き換えに効果的です。
お客様に正直な気持ちを伝えられたとか、苦手だった電話を一本かけられたとか、知らなかった事を自発的に調べ、学んだ事などをメモし、寝る前にまとめ、眺めるのです。
私はクライアントさんの社員研修で、この話をしています。特に新卒や中途での1年目は書ける事が山ほどあるので、脳の習慣づくりにはピッタリのタイミングだからです。
この積み重ねをすればするほど、「自分は出来る!」という新しい脳の回路が生まれ、育つのです。
⑶インポスター症候群
調査によると最大82%の人が「自分は偽物ではないか」「自分などプロと名乗る資格は無いのでは?」と感じた経験がある。と言います。
初心者だけではなく、専門家も、経営者も、長くお店を続けている商売人でさえ、この感覚を抱えることがあると云われてるのです。
「自分にはまだ資格がない」「こんな自分がプロと名乗っていいのか」「いつかメッキが剥がれる気がする」
この感覚が強いほど、発信する事をためらいます。
価格をつけることを躊躇し、お客様の前で自信を持って話せなくなるのです。
しかし、インポスター症候群を感じる人は、感じない人より「誠実である」ことが多いのです。
こう感じてしまうのは「誠実である証拠」でもあるのです。
「自分はまだ足りない」と感じる感覚は、向上心と謙虚さの裏返しです。
本当に力のない人は、自分の現状にすら気づきません。
裸の王様かもしれないのにね。
なので「私は偽物かもしれない」という不安を抱えながら、それでも前に進んでいる人こそが、本物のプロへの道を歩んでいると言えるのです。
哲学者のバートランド・ラッセルは「この世の問題は何か?愚か者は自信に満ちていて、賢い者は疑念に満ちている事だ」と説いてます。
自分の不安は真剣である証拠なのです。
一生懸命やっている。という事です。
3つの脳の習性を整理しますね。
拒絶への恐怖は、打席に立ち続けることで、薄れていきます。
制限的な思い込みも、小さな成功体験の積み重ねで、書き換えられます。
インポスター症候群は、むしろ不安を抱えながら動き続けることで、本物になっていくので問題ありません。
どれも無くすのが目標ではなく、「それでも動いていく」のが目標なのですね。
と、この様に脳は使い方次第で変わります。私も若い頃はネガティヴな部分があったり、一歩踏み出すのが怖かったりしましたが、商売を始めたらそんな事言ってられないので、いつしか動くのがデフォルトになり、それに基づきながら、脳みそが変化した実感もあります。
脳は恐怖を感じながらも、一歩踏み出すたびに、「これは安全。大丈夫だ」と、どんどん学習します。
「出来ない」「苦手」「嫌だ」を少しずつ変えるたびに、脳は前向きで新しい回路を広げるのです。
不安を抱えながらも、お客様の前に立ち続け、ベストを尽くせば尽くすほど、脳は自分を「本物」として認識し始めます。
商売を伸ばすには、自分の脳の使い方を、少しずつ変えていく事が大切なのです。
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望月まもる(集客支援コンサルタント)地域の商いを見続けて40年。整体・接骨院の勉強会で約10数年講師を務めております。商工会や行政、工務店・リフォーム会社、各種サロンなどの業界団体でも、セミナーや講義・勉強会・研修を行っております。クライアントは、接骨院・整体院・各種サロン業・物販・通販会社・製造業・学習塾・音楽教室・リフォーム会社・工務店・ポスティング会社など多岐にわたります。著書:「儲けるポスティング損するポスティング」「『集める』から『集まる』店へ」