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2026年6月22日 サロン 商い全般 工務店・リフォーム会社 整体院・接骨院 製造業

目覚めている師匠の元で

かつての日本の職人の世界には、不思議な慣習がありました。

師匠は、弟子に多くを語りません。

技術を「教える」のではなく、弟子が「盗む」のを待っているのです。

師匠に怒鳴られることはあっても、理由は全く説明されません。

「見て覚えろ」「体で感じろ」「まだわからんのか」

今の時代から見れば、非効率で理不尽に映るかもしれませんが…

この慣習の背景には、深い意味や意義があったのです。


20世紀初頭、ゲオルギイ・グルジエフという思想家が、人間の意識には4つの段階があると説きました。

第1段階 眠っている状態。

第2段階 起きているつもりの状態。

第3段階 本当の意味で目覚めた状態。

第4段階 客観的な意識、悟りに近い状態。

グルジエフが指摘した最も重要なことは、「ほとんどの人間は第2の段階にいながら、自分は目覚めていると思っている」という部分です。

つまり、起きているようで、実は眠ったまま生きているのですが、誰も彼もその自覚が無いという事です。


さて、これを商売の世界に当てはめてみましょうか。

第1段階惰性で動いてる。何も考えていない。毎日をただこなしているだけ。

第2段階一生懸命やっているつもりだけど、実は日頃の習慣と惰性の中にいる。「皆と一緒」「いつもと同じ」が安心になっている。また恐怖から頑固、意固地になりプライドが高い。評価や売上に左右される。

第3段階自分の商売が「自らのやりたい事であり使命だ」と気付きながらも、外側から客観的に見ている。全て自分軸、主観的でありながら他者への高い共感性を宿している。結果に左右されず、やるべき事に熱中する。

第4段階商売を通じて、お客様の人生、地域社会、時代の流れまでを感じ取りながら動いている。全てが自分の生命の意味や人生の意義に紐付けされ、ただ満たされている。

かつての日本の名職人たちは、この第三・第四段階にいた人たちです。


では、彼らはどうしてその境地に至ったのでしょう?

シンプルに言うと、師匠という「目覚めている人」の傍にいたからです。

グルジエフはこう言っています。

「人は一人では目覚めることができない。

目覚めている人に、起こしてもらう事が必要だ」

師匠が弟子に多くを語らなかったのは、怠慢でも意地悪でもありませんでした。

言葉で「教える」ことは、せいぜい第二段階までしか届かない。

第三段階以上は、「目覚めている人の傍にいること」でしか伝わらない何かがある。と、師匠たちは体(体験知)で知っていたのです。


しかし、現代の商売の世界はどうでしょう?

師匠がいません。

いや、正確には師匠の代わりに、YouTubeがあり、セミナーがあり、ビジネス書があり、SNSがあります。

しかしグルジエフの言葉を借りれば、これらは「意識的な影響」であり、第二段階までしか届きません。

書物や哲学体系を通じて「知識」だけは伝わりますが、

受け手が「正解探し」「効率」「結果」のみを求めれば、逆に個性や大切な価値観を失う危険性も高いです。

「目覚め」「本質」は伝わらないのです。

体感出来ないのです。

目覚めは「目覚めている人の近く(磁場)の中にいることで初めて起きる」とグルジエフは言いました。

ここに、現代の商売人が第二段階で止まってしまう根本的な原因があります。

情報は溢れていても、「目覚めている師匠」がいないのです。

知識はあっても、その知識を「生きた商売」に変えてくれる人、変えられる人がいないのです。

これが現代という時代の本質的な問題なのです。

ちなみに私にも師匠は居ません。

しかし、「真似したくなる素晴らしさ」「絶対あぁはなりたくない」と思わせてくれる諸先輩方はおりました。


そして、グルジエフは、「高く登れば登るほど、自分の後を登ってくる人に依存することになる」と説きました。

師匠は、弟子が育つと、自分自身もさらに高いところへ登れる。

と言うのです。

弟子のレベルが高くなるほど、例えば「対話」もハイレベルになります。

全ての質が上がるからこそ、それに応えようとする師のレベルも高くなるのですね。

これは、かつての職人の世界が普通に体現していた光景です。

良い弟子が師匠を育て、師匠が弟子を育てる。

この循環が、日本の職人文化を世界に類を見ないレベルに引き上げた本当の理由だと感じるのです。


さて、この話を読んであなたは今、どの段階にいますか?

毎日をこなすことに精一杯なら第一段階。

一生懸命やっているが、同じ場所にいるなら、第二段階。

自分の商売を客観的に語れるなら、第三段階への入り口。

そして——

第3段階以上に行きたいなら、一人で本を読み、動画を見るだけでは、届きません。目覚めている人を探し、なるべく多く接してください。

その人の空気に触れ、その人の言葉ではなく、その人の「在り方」を感じ取り、自分の細胞の一部にしていく…。

それが、眠っている商売人が目覚めるための、唯一の道なのです。


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望月まもる(集客支援コンサルタント)地域の商いを見続けて40年。整体・接骨院の勉強会で約10数年講師を務めております。商工会や行政、工務店・リフォーム会社、各種サロンなどの業界団体でも、セミナーや講義・勉強会・研修を行っております。クライアントは、接骨院・整体院・各種サロン業・物販・通販会社・製造業・学習塾・音楽教室・リフォーム会社・工務店・ポスティング会社など多岐にわたります。著書:「儲けるポスティング損するポスティング」「『集める』から『集まる』店へ」

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