商売人は目覚めれば良い
商売を始めた人の多くが、「もっと技術を身につけなければ」「もっと知識を増やさなければ」「成功している人のやり方を真似なければ」と考えます。
足す。増やす。なる。という発想が、商売の出発点になっています。
まぁ確かにそう言う側面があるのは事実ですが、それは
- 他者の顔色
- 他者への貢献
「どちらの方向に向かうのか?」で大きく異なります。
他者の顔色や評価の為、足すことに必死になっている人ほど、自分らしくない商売をしているものです。
「自分ではない誰か」を演じているような違和感が漂うのです。
哲学者のルドルフ・シュタイナーは、祈りについてこう語りました。
「祈りとは、神に何かを求めることではない。魂の中に、すでにあるものを目覚めさせることだ」健康を求める。成功を求める。保護を求める。などは、自分の外側に答えを求める気持ちから来る行為です。
しかしシュタイナーは言います。
「本当の祈りは逆方向に働く」と。
外から何かを手に入れる為ではなく、自分の内側にすでに眠っているものに気づくための行為だ。と言うのです。
そしてこれは商売に直結する話です。
技術を足し、資格を増やし、他者のやり方を真似するのは、外から自分に何かを加える行為です。
確かに職人、プロの道はそれも大切です。
しかし、それをいくら追い続けても「あなたにしかない商売」は生まれません。
なぜなら、それはすべて「借り物」であり、誰かになろうとする事だからです。
シュタイナーは、祈りの一つ目の方向として「過去への目覚め」を説きました。
人生を正直に振り返ると、奇妙なことに気づく。自分の中に、実際になったものよりも常に大きな何かが、既に存在していた。と言うのです。
それはこれまで十分に使わなかった強みだったり、気づかないまま無視してきた可能性だったりもっと活かせたはずの、あなただけの感性だったりします。
これは、商売に置き換えると…あなたがこれまでの人生で自然にやってきた事や簡単にできてしまう事、分かってしまう事、誰かに褒められていた何かや時間を忘れて没頭して来れたものなどに,あなたにしかできない商売の核心が眠っています。
もう一つ、シュタイナーは「未来への姿勢」を説きました。
不安、支配、落ち着きのなさなど、ほとんどの人は、未来を恐れながら迎えます。
しかし、「静かな内なる信頼を持って、未来の前に立って迎えろ」と説くのです。人生そのものに意味があるからこそ、その未来を信頼して、意味を運んで行き、訪れるものを受け取れと言うのです。
商売に於いても完璧に準備が整ってから動くのではなく、「自分には強みがあるという信頼を持って動き始めろ」という事です。
不安や不足を埋めてから始めるのではなく、既に自分が持っているもので始めていくのが商売なのです。
「足す」発想の商売は、わかりやすく言うと、何でも屋になります。技術を足し過ぎると経営者ではなくなります。
他者のやり方を真似し過ぎれば、自分無き商売になります。
成功事例を追いかけ過ぎると、時代遅れの「昨日の正解」を繰り返し、少しずつ退化していきます。
「まだ足りない」「動くのは怖い」という感覚が続けば、動けないまま、時間だけが過ぎて行くのです。
自分に目覚める商売は、自らがこれまで自然とやってきた事を、商売の核心に据える様になります。
「これ位は誰でもできる」と思ってきたあれこれの中に、希少な価値が眠っていると気づくのです。
それは借り物ではない個性の輝きです。
だからこそ、自分の言葉で語れる商売になるのです。
その時の言葉は、どんな広告コピーよりも強く、お客様の心に届きます。
私がセミナーや勉強会で「キャッチコピーやセールスレターの内容を考えるな。溢れてくるものをそのまま書けば良い」と言ってるのは、この辺なのです。
松下幸之助翁は「自分には何もないと思っている人間ほど、実は一番大切なものを持っている」と説きました。
商売の自分軸は新しく作るものではありません。既に自分の中にある何かに、気づき直すことです。
その気づきから始まった商売だけが、自分にしか出来ない商売に育って行くのです。
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望月まもる(集客支援コンサルタント)地域の商いを見続けて40年。整体・接骨院の勉強会で約10数年講師を務めております。商工会や行政、工務店・リフォーム会社、各種サロンなどの業界団体でも、セミナーや講義・勉強会・研修を行っております。クライアントは、接骨院・整体院・各種サロン業・物販・通販会社・製造業・学習塾・音楽教室・リフォーム会社・工務店・ポスティング会社など多岐にわたります。著書:「儲けるポスティング損するポスティング」「『集める』から『集まる』店へ」