← サロンの一覧へ戻る

2026年6月30日 サロン 商い全般 工務店・リフォーム会社 整体院・接骨院 製造業

動物化する商売人

「満たされすぎた世界の人間は、動物に戻る」(アレクサンドル・コジェーヴ・哲学者)彼は「人は満たされ過ぎるとただの動物になってしまう。腹が減れば食い、眠くなれば寝る。環境のサイクルに100%依存して生きる動物と同じ状態になる」と説きました。現代の商売の現場で、私はこの「動物化」を目撃しています。一言で言えば…商売人が軽くなっているのです。

情報は早く消費されますし、サービスは「わかりやすさ」で競われます。SNSの発信も「バズるかどうか」で判断され、常に「効率的か?」「結果が出るか?」というタイパ・コスパ至上主義の時代に、商売人は飲み込まれ…長い目で見れなくなってます。育てられなくなってます。近視眼的になってます。

どうすれば効率よく集客できるか?最短でフォロワーを増やすには?手間をかけずに売上を上げるには?どうでも良い事ばかりを追いかけるうちに、商売人として、プロとして…そして何より「人としての深み」が失われていくのです。

久しぶりに会った私に「面白くなくなったな?」と言わせる人も居ます。


さて、売り手が軽くなると何が起きるでしょう?まず言葉が薄く、軽くなります。

お客様に届ける言葉、語りかけるメッセージですら「誰にでも言える言葉」になるのです。

「丁寧な施術を心がけています」「お客様第一で取り組んでいます」「確かな技術と温かいおもてなし」月並みで平凡で全く面白味もなく、使い古された「曖昧なワード」で組み立てられた届かない言葉です。響かないメッセージです。どこかで見た言葉、誰でも言える言葉、耳触りだけが良い言葉はつまらないし、刺さらないし、何より「自分でなければならない理由」が、一つもない言葉なのです。

言葉の軽さは行動の薄さに繋がります。言葉は商売人の薄さが正直に反映された表現です。


次に判断が浅くなります。深く考える事や時間を掛けて学ぶ事、育む事を「タイパが悪い」と感じるようになるうちに、本当に考えられなくなってしまうのです。読もうと思った本も最後まで読み切れず、「はいはい、このパターンですね」と早合点し、浅い解釈で終えます。誰かとのやり取りに掛かる時間を「非効率」と感じ、LINEで済ませたり、AIで返信します。目の前のお客様の人生を想像出来なくなるので、顧客データを眺めて分かった気になります。浅くて薄ければ「評価」も「判定」も出来なくなるにも関わらず、こうして、プロとしての感性が少しずつ鈍っていくのです。


コジェーヴが言った「動物化」の本質は「刺激に反応するだけで、自分の意志で考えることをやめた状態」です。現代のスマホとSNSはこの状態を加速させるのをご存知ですか?デジタルツールが動物化に導くなんて、意外ですよね。食事をしながらスマホ。移動中にスマホ。お客様を待ちながらスマホ…と常に何かを消費し続けているうちに、「何も入ってこない時間」「何もしない時間」が怖くなるのです。すぐ飽きるのです。待てなくなるのです。しかし、商売人としての深みは「何も入ってこない時間」の中でしか育たないのです…。真逆なのよ。


「静けさや、岩にしみ入る蝉の声」(松尾芭蕉)蝉の声が岩にしみ入る為には静けさが必要な様に、商売人の内側に何かがしみ入るためにも静けさが必要です。情報を消費し続けている人はクオリア(感じる力)が衰えて行きます。常にスマホのドーパミン刺激に晒されているから感性や感覚も衰え、心に何もしみ込まなくなってしまうのです。これ…人として相当ヤバい状態なの分かりますか?😅


では、商売人として深みをつけるために、何をすべきでしょう?具体的な行動を3つ挙げますね。

⑴「余白」を意図的につくる

スマホを置いて、ただ考える時間を作るのです。お客様のことを、ぼんやりと思い浮かべたり、自分の仕事の意味を、ゆっくりと問い直してみたりして、何も生産しない時間をつくり、そこに身を置くのです。この余白が「商品やサービスの発想」「お客様への言葉」「新しい企画」を育てます。

⑵一次情報に触れる

まとめなどの要約ではなく、本を最初から最後まで読む。データではなく人と会って話す。SNSではなく実際に現場に行って体験するなどです。一次情報は所詮切り貼り、誰かの意図や色が入ってるので、絶対に伝わらないのです。機序や構成、細やかな部分にこそ核心は潜んでるので、「分かった気になる」だけで役に立ちません。ましてや人は死ぬまでアナログなのですから、要約したもので分かった気になったり、タイムラインに流れて来る写真1枚で理解したつもりになっている方が危険なのです。生きている人間の言葉と、タイパコスパ人間の言葉は、お客様に響く深さも違います。

⑶常に哲学を持つ

自分はなぜこの仕事をしているのか?この仕事を通じて何を実現したいのか?今日のお客様は本当は何を求めていたのか?…キリが無いほどあるものです。すぐ答えを出さなくて良いのです。自らの中に哲学を持ち続けることが、商売人の内側を深くしていきます。


しかし、人は簡単に飼い慣らされるものですね。タイパ・コスパの飼育箱から意識的に出るのです。そこに真実はありません。自分が自分ではなくなるだけです。私はそれほどこの洗脳にかからず済みました。何故なら手間がかかる事しかやって来なかったからです。そして、その手間や時間が自分に沢山の気付きや学びなどの宝をプレゼントしてくれた事を分かっているからです。効率は確かに大切な要素ではあります。そこまで時間を掛ける必要が無ければ端的にした方が良いし、時間を短くしてクオリティが上がるのなら、お客様を待たせなくて良くなります。しかし、手間を掛ける部分と効率的にする部分の分別も無いまま、コスパだ、タイパだと追いかけるほど。商売から自分が消えていきます。誰でも良い。誰がやっても同じ。すげ替え可能で使い捨て。そしてAIに代替されジ・エンドです。自分にしか出来ない商売、私の色が深まった商売は、未来永劫AIには代替できません。最近、若いデザイナーさんと話す機会がありました。彼はAIを脅威に感じてましたが、私は「判断や評価が出来れば大丈夫だよ」と答えました。AIが出力したデザインを素人が判断、評価出来るのか?いや。無理です。だからこそ、評価と判断と要求をしながらAIを使いこなせるデザイナーになれば良いのです。人の強み、人にしか出来ない部分を最大限に発揮して、AIに奪わせなければ良いんだよ。


さて、コジェーヴの言葉を自分に向けてみてください。全てが便利になり、満たされた時代に、あなたは何のために商売をするのですか?この質問に自分の言葉でハキハキ答えられれば、あなたはまだ「動物」ではありません。素敵な商売人です。私は自身の勉強会で「商売人は自分の商売、自分の話を最低2時間は語れないとね」と説いてます。何故ならその長さ…言葉の深さがそのまま、自分の商売の深さになるからなのです。


ご相談はこちらから

ご質問やご相談がございましたら、公式LINEからどうぞお気軽にご連絡ください。

公式LINE:https://lin.ee/tpXecjZ

望月まもる(集客支援コンサルタント)地域の商いを見続けて40年。整体・接骨院の勉強会で約10数年講師を務めております。商工会や行政、工務店・リフォーム会社、各種サロンなどの業界団体でも、セミナーや講義・勉強会・研修を行っております。クライアントは、接骨院・整体院・各種サロン業・物販・通販会社・製造業・学習塾・音楽教室・リフォーム会社・工務店・ポスティング会社など多岐にわたります。著書:「儲けるポスティング損するポスティング」「『集める』から『集まる』店へ」

LINEで相談 お問い合わせ