恒常性機能と商売
起業しても残れない本当の理由は身体反応なのかもしれません。
「資金が尽きた」「集客がうまくいかなかった」「経営を知らなかった」などは廃業した人がよく口にする理由です。
しかし、私はご本人が無意識の部分に本当の原因があると感じています。
人間の身体には、二つの調整機能があります。一つは「ホメオスタシス」と言い体温や血圧を一定に保とうとする、恒常性の機能です。
保守的で、安定を好む。変化を嫌い現状を守ろうとする特性があります。
もう一つは「アロスタシス」と言い、環境変化に対して、身体全体で適応しようとする機能です。
ストレスや不安を感じた時、心拍数が上がり、血糖値が上がり、筋肉に血液が集まります。
「戦うか、逃げるか」の準備を、身体が自動的に始める状態です。
アロスタシスは、本来は生存の為の機能なので、短期間であれば、この反応が人間を守ってくれます。
しかし、問題はこの状態が長く続いた時です。
慢性的なストレス、終わらない不安、解消されない恐怖などは、アロスタシスを慢性的に作動させ続け、
免疫力が下がり、判断力が鈍り、創造性が失われ、人への関心が薄れていくのです。
これでは商売どころではありませんよね(汗)。
なので私は起業した人が廃業する本当の理由の多くがアロスタシスの慢性化では?
そして、それを慢性化させているのが…
「恐怖・比較・承認欲求・偽りのプライド」などの動機、つまり、間違った動機のまま商売を始めてしまった事ではないか?と思ってるのです。
恐怖から開業した人の身体は、開業初日から「失敗したらどうしよう」「お客様に来てもらえるだろうか」「評価されなかったらどうしよう」というアロスタシスが作動しています。
これらの思考は脳にとって「危険信号」です。
実際に危険が目の前になくても、思考だけでアロスタシスは作動します。
身体は、想像上の敵に対しても、本物の敵と同じように反応するのです。
神経科学者のロバート・サポルスキーは著書『なぜシマウマは胃潰瘍にならないか』の中で「シマウマはライオンに追われているその時だけ、ストレス反応が起きるが、逃げ切った後は、何事もなかったように草を食べている」と語っています。
しかし、アロタシスが作動してる人は違います。過去の失敗を何度も思い出し、まだ起きていない未来を何度も心配し、他者の評価を何度も気にします。
この終わらない思考、止まらない不安が、終わらないアロスタシスを生むのです。
ではホメオスタシスは素晴らしいのか?というと、別の側面もあります。
「現状維持」という保守的な力は、変化への抵抗であると同時に、「今の自分を守ろうとする力」でもあるからです。
まず開業という大きな変化の前に、ホメオスタシスが静かに囁くのです。
「安定した会社員に戻れ」「リスクを取るな」「変わらない方が安全だ」…。
これらの声と「アロスタシスによる慢性的な緊張状態」が重なった時、人は身体レベルで「商売を続ける事」を拒絶し始めます。
廃業は、経営判断である前に、身体の判断である場合が多いのです。
そして身体と心は密接なので、モチベーションや気分、気持ちに作用するのも当然なのです。
では、どうすれば良いのでしょう?
まずは意識的に「動機の根っこ」を変えるのです。
私もかつてはそうでしたから、よく分かりますが恐怖から始まった商売を、「貢献」に根ざした動機に転換するのです。
恐怖はアロスタシスを慢性化させますが、貢献の喜び…お客様からのお声、反応などは、アロスタシスを沈め、身体に安定をもたらします。
「誰かの役に立てた」という実感は、オキシトシンやセロトニンを分泌させ、身体を「安全だ」という状態に戻すのです。
商売の動機は、身体の化学反応を変えるのです。
売上や利益に執着していると、アロスタシスが慢性化しますし、皮肉にも恐怖や不安(売り上げが落ちたら、上がらなかったらなど)があると、そちらにばかり脳も意識を向け、より体調も心の状態も悪くなるのです。結果も気にせず「お客様のために今日も精一杯やろう!」と日々を過ごしている商売人の方が結果として繁盛しているのです。
起業しても残れる人と、残れない人が居ますが、そこには資金ややり方などの前に、
身体が商売を「安全な行為」と感じられているかどうか?そして、「何のために商売をしているか?」という動機の純度が大きく関わっています。
恐怖を動機にした商売は、身体を蝕みながら続ける事になりますが、
貢献を動機にした商売は、身体が喜びながら続けられるものです。
商売の動機が、自分の身体や心に投影されているのです。
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望月まもる(集客支援コンサルタント)地域の商いを見続けて40年。整体・接骨院の勉強会で約10数年講師を務めております。商工会や行政、工務店・リフォーム会社、各種サロンなどの業界団体でも、セミナーや講義・勉強会・研修を行っております。クライアントは、接骨院・整体院・各種サロン業・物販・通販会社・製造業・学習塾・音楽教室・リフォーム会社・工務店・ポスティング会社など多岐にわたります。著書:「儲けるポスティング損するポスティング」「『集める』から『集まる』店へ」