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2026年7月15日 サロン 商い全般 工務店・リフォーム会社 整体院・接骨院 製造業

あきらめない

1945年の終戦時、
東京の下町も、大阪の船場も、
名古屋の商業地も焼夷弾によって灰になりました。

のれんや帳簿、先祖代々の商売道具も、
すべてが灰になったのでした。

しかし商売人たちは、
その灰の上に立ってすぐに動き始めました。

「さて、何を売ろうか」

終戦の翌日から闇市が生まれました。

上野、新宿、池袋などの駅周辺に、
バラックの露店が並び始めます。

売っているものは軍の横流し品、
進駐軍のタバコや缶詰、
農村から運び込まれた米や野菜など、
商品の全てが「統制外」の違法取引でした。

しかし人々は、闇市なしには生きられなかったのです。
配給だけではカロリーが足りなかったからです。

闇市の食べ物を買えない人が、
栄養失調で亡くなった時代の悲しい実情です。

闇市には大勢の人達が集まりました。

戦地から帰った復員兵や家を失った市民、
職を失ったサラリーマンや大陸から引き揚げた人、
そして大勢の孤児…。

その真ん中には、
「この混乱の中に商売がある」
という嗅覚を持った者たちが居ました。


闇市の商売は
江戸の棒手振りに似ていました。

資本も店舗も看板もないけど、
あるのは商品、そして
体と声と勘だけ。

「さあさあ、寄ってらっしゃい」という言葉が、
焼け野原の日本に再び響き渡りました。

しかし闇市には、
江戸の商売にはなかったものもありました。

それは暴力です。
闇市の縄張りを巡って、
不良集団や暴力団が抗争しました。

「場所代」を払わなければ、
商売が出来ないし、払えなければ殴られる。

商売と暴力が隣り合わせの時代でもあったのです。

しかし、その混沌の中から、
本物の商売人が生まれました。

後にSONYを創業する盛田昭夫と井深大。
後にホンダを興す本田宗一郎。
後にパナソニックを再建する松下幸之助。

彼らは戦後の混乱期に
「ものを作って届ける」という
商売の本質を体現していきました。

松下幸之助翁はこう言っています。
「商売とは感動を提供することである」

焼け野原の時代に感動を語れる人間が
次の時代をつくりました。


1950年代に入ると、
朝鮮戦争特需が日本経済を刺激し、
復興が加速していきます。

商店街も急速に蘇りました。

闇市が「マーケット」に整理され、
バラックが「商店」へと変わり、
商店街として形を整えていったのです。

焼け野原から5年も経たないうちに、
人々は再び「にぎわい」を取り戻していきました。

そして、この時代の商店街には、
独特の空気がありました。

「お互い様」の精神です。

戦争で皆が同じように失ったからこそ、
お互いに助け合う。助け合おうとする。
という姿勢です。

隣の店が困っていればお客さんを回すし、
自分の店が忙しい時は、隣に手伝いを頼みます。

全て「お互い様」なのです。

こうして商店街全体は、
一つの「村」のようになっていきました。

そして、この「お互い様」は、
江戸の長屋文化の再現でもあったのです。

日本人の商売の底流にある
「共同体としての商売感」は、
戦後の焼け野原の上で再び花を咲かせたのです。


しかし、闇市の時代に根づいた
「今だけ金だけ自分だけ」の感覚も、
消えたわけではありませんでした。

復興の混乱に乗じた粗悪品は
「戦後品」と呼ばれていました。
質の低い商品が溢れた時代だったのですね。

「売れれば何でもいい」という
戦時中の統制経済が生んだ
歪んだ商売感覚を持つ人も多く居た時代でもありました。

それでも、この時代を生き抜いた
商売人たちには共通点がありました。

「諦めなかった」のです。

のれんが焼けても、
のれんの精神は焼けていませんでした。

店が灰になっても、
商売の魂は灰になりませんでした。

「また始めればいい」
「また始めるぞ」という言葉を、
どれだけ多くの商売人が
口にして、実行したのでしょう。


老子はこう言いました。
「為學日益、為道日損」
学問は日々積み上げるもの。
しかし道は、日々削ぎ落とすもの。と。

戦争は積み上げてきたものを
すべて奪いましたが、
削ぎ落とされた後に残ったものが、
商売の「道」の本質でした。

建物や道具、
商品や資本など
全て失った後に残ったものは何だったでしょう?

「生きていく。生きなければ」
「それにはこの道…私には商売しかない」
という商売人としての動機です。

その動機だけを持って、
焼け野原に立った商売人たちは、この後で
日本の高度経済成長の主役になるのです。


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望月まもる(集客支援コンサルタント)地域の商いを見続けて40年。整体・接骨院の勉強会で約10数年講師を務めております。商工会や行政、工務店・リフォーム会社、各種サロンなどの業界団体でも、セミナーや講義・勉強会・研修を行っております。クライアントは、接骨院・整体院・各種サロン業・物販・通販会社・製造業・学習塾・音楽教室・リフォーム会社・工務店・ポスティング会社など多岐にわたります。著書:「儲けるポスティング損するポスティング」「『集める』から『集まる』店へ」

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